余越 保子(よこし やすこ)

振付・演出家、映像作家。1996年より2015年までニューヨーク、東京、アムステルダムを拠点に数々のダンス・パーフォーマンス、映像作品を手がける。2015年より活動の拠点を京都に移す。

 

ジョン・サイモン・グッゲンハイムアワード、ファンディション・フォー・コンテンポラリー・アートアワード、ベッシー賞最優秀作品賞を2年連続受賞。ニューヨーク市芸術家フェロー(振付部門)、クリエイティブ・キャピタル授与者。2011-213年度のNew York Live ArtsNYLA)の初代(RCA)コミッション・レジデントアーティストとして「BELL」を制作上演。

 

文筆活動では、1990年に森鴎外記念自分史文学大賞を受賞。学習研究社より「一生に一度だけの」が出版された。自主映画「Hangman Takuzo」(首くくり栲象、黒沢美香、川村浪子主演) は、神戸映画資料館、イメージフォーラム、mhproject (NY)、横浜BankARTにて上演。    


ダンスの振付について

わたしがはじめて振付けたダンスは「ジェンダー・トーク」という作品だった。女性性と男性性を男女の差異としての比較ではなく、ひとりの人間の中に共存する相対的なジェンダーを見つめた作品だった。

 

アメリカに留学して2年目、今では日本でも市民権を獲得しはじめたLGBTは、1981年当時、リベラルな校風で有名だった留学先の大学では日常茶飯事のことだった。「ジェンダー」という言葉を、学問用語として耳にした。まず、世の中には、生物学的な性の区分けではなく、社会的に管理され、文化や歴史の流れの中で演出され、振付された、女性と男性があるのだ。その視点、そのものが驚きだった。これを知ったとき、私は水槽から海へと突然放り込まれた稚魚のように、自由と混乱の洗礼を一度に浴びたのだった。大学3年のとき「ジェンダー・トーク」というダンスを作った。

 

作家として、私は複雑で答えのありようのないものを作品にすることに興味があり、演劇ではなく、ダンスでなければ語れないものに興味がある。ダンスで語るとは、矛盾して聞こえるが、身体で語る物語は、言葉で語る物語よりも、よりドラマティックで直接的だ。私は、本質的にドラマが好きなのだ。

 

身体のなかに文化や歴史や社会がすでに組み込まれていると、私は考える。ダンスを通して身体を見ることで、文化や社会を読むことができる。作品に登場するダンサーの身体そのものが自分の政治的なコメントだと思う。

 

なんか、声明文みたいになってしまいましたけども。。。(笑)

WORKS

 

 

2019

・shuffleyamamba 鳥の演劇祭鳥の劇場主催鳥取県鳥取市日本

shuffleyamamba 豊岡市出石永楽館城崎国際アートセンター主催兵庫県豊岡市日本

Chase The Hands Gatel追手門学院高校主催コミッション制作l大阪府茨木市l日本

 

2018

shuffleyamamba lミシガン大学滞在制作lミシガン州アン・アーバー市lアメリカ

Hangman Takuzo映画)lフィルム・フォーラムDance New Air主催東京日本

Hangman Takuzo映画 mh project ニューヨーク市アメリカ

 

2017

自分の頭を横たえるところが自分の家 (インスタレーション・パフォーマンス)NPO Dance Box主催下町芸術祭神戸市日本

ZERO ONE TPAM横浜国際舞台芸術ミーティング主催神奈川県立劇場横浜市日本

ZERO ONEJCDN主催「踊りにいくぜ!!(セコンド)Vol.7福岡公演l福岡市l日本

 

大人のための愛の教室l京都エクスペリメント・フリンジ自主企画l立誠小学校l京都市l日本

 

2016

Hangman Takuzo インスタレーション)lNoorderzon Performing Arts Festival主催グローニンゲンオランダ  

B」lJCDN 主催「踊りにいくぜ!!(セコンド)Vol.6l松山市l日本

 

2015

ZERO ONE Danspace Project 主催ニューヨーク市アメリカ

 

2014

ZERO ONE鳥の演劇祭主催鳥取市鹿野町日本

ZERO ONEJCDN主催「踊りにいくぜ!!(セコンド)Vol. 鳥取、仙台、京都、東京巡回公演l日本

 

2013

BELLlニューヨーク・ライブアーツ主催lRCA コミッションlニューヨーク市lアメリカ

BELLlダブリン・ダンスフェスティバル主催lダブリン市 lアイルランド

 

2010

Tyler Tylerlテアトロ・デ・ラヴィル主催lパリ市lフランス

Tyler Tylerlダンスシアターワークショップ主催lニューヨーク市lアメリカ

Tyler Tylerlダイヴァース・ワークス主催lテキサス州ヒューストン市lアメリカ

TylerTylerlノースフォースアート・センター主催lニューメキシコ市lアメリカ

TylerTylerlダンスセンター・オブ・コロンビアカレッジ主催lシカゴ市lアメリカ


2009
「高校生x余越保子」ダンスボックス主催企画l神戸市l日本

「いわき総合高校x余越保子」いわき総合高校演劇学課主催 lいわきアリオスl福島市l日本

2008
Reframe the Framework
lザ・キッチン主催lニューヨーク市lアメリカ

 

2006
LOST
lガバナーズアイランドlダンシングイン・ザ・ストリート主催lニューヨーク市lアメリカ

what we when welダンスペースプロジェクト主催lニューヨーク市lアメリカ

 

2005

what we when welダンスペースプロジェクト@グッゲンハイム美術館lニューヨーク市lアメリカ

 

2003

SHUFFLE lパーフォーマンス・スペース122主催lニューヨーク市lアメリカ

 SHUFFLElタイムベースアート(TBA)フェスティバル主催lポートランド市lアメリカ

 

2002

SHUFFLElホイットニー美術館主催lニューヨーク市lアメリカ

SHUFFLElジャパン・ソサエティ主催lニューヨーク市lアメリカ

 

2001

Royal Madnesslホニー・ヒゲン共同制作lザ・キッチン主催lニューヨーク市lアメリカ

Travel Theorylマサチューセッツ・ミュージアム・オブ・コンテンポラリーアート主催lアメリカ

 

2000

Travel Theorylパーフォーマンス・スペース122主催lニューヨーク市lアメリカ

Royal Madnesslホニー・ヒゲン共同制作lダンス・シアター・ワークショップ主催lニューヨーク市lアメリカ

Royal Madnesslホニー・ヒゲン共同制作lネス・シアター主催lアムステルダム市lアメリカ

Royal Madnesslホニー・ヒゲン共同制作lフェスティバル・ソマー・シゼン主催lザルツブルグ市lオーストリア

Royal Madnesslホニー・ヒゲン共同制作lダンス・イン・コートレック主催lブリュッセル市lベルギー

 

1998

 Tendencies and Strategiesシアター・ゼロ主催ソウル市韓国

Tendencies and Strategies韓国・日本ダンスフェスティバル主催ソウル市韓国

 

1987

 Tendencies and Strategieslフェィティバル・ヴェルフ主催lユトレクト市lオランダ

ABOUT DANCE 

If you love dance you probably chose it because dance disappears the moment it is executed.
You cannot own dance.
Dance is a permanently vacant lot, a beautiful space you cannot possess.  

 

ダンスについて

ダンスはおこったそばからすぐ消えてなくなってしまう

ダンスを所有することはできない

ダンスは永遠にからっぽの広場だ

決して手に入れることがでいない美しい虚空だ 

 

【訳:余越保子】    

Artist Statement

Dance is a medium that I use to enhance presence. I explore from minimum to extreme and all the shades and degrees in-between to locate the exact presence I want to be and I want to see on stage.I am obsessed with controlling and not controlling. I am always regretting what I lack, or what I have in excess. I am bad at relationships. The communication that is the focus of my work is a tool I use to learn how to relate to others. I am always aware of my relationship to other people, to society, to history, and to my own knowledge. I inspire myself in order to fulfill the gap between knowing and not knowing. I often find myself being wrong and failing and I don't mind being wrong and failing as they help me to focus on what I am making. Creating frees me from being one place, one person, and one time.
【原文:余越保子】

 

アーティスト・ステイトメント

踊るという行為を通過すると、人間の存在が強くなる。その人がそこにいること、そして、最小限から最大限のその間に横たわる無限の可能性から、私の、そして、目の前に立つ、そこにあるべき、あり様がぴたりと収まる場所を、私は探し求める。

 

私は、コントロールすることに没頭し、同時に、コントロールしないことに没頭する。私は、自分の欠陥について常に反省している。あるいは、自分の過剰さについても。

 

わたしは人間関係が苦手だ。人とつながること、それが私の作品づくりのはじまりだ。どのようにしたら他人と繋がることができるのか、それを導いてくれるのがクリエーションだ。

 

他者との、世の中との、歴史との、そして自分が持っている知識そして自分との関係について、思いを巡らせる。自分の知ってること、そして、知らないことの間には、大きなギャップがある。その両岸をつなぎあわせることが作品を作るモチベーションとなる。 作り始めると、私はたくさんの 間違いを犯し、そして、失敗を繰り返していく。しかし、自分が間違っていること、そして、たくさん失敗することに対して、あまり気にしない。なぜなら、間違いや失敗は、作るという行為に没頭するための、大切な道しるべとなってくれるからだ。

 

何かを作るということは、一つの場所にずっと居続けたり 、一人の人間であり続けたり、ある時間にじっと留まることから、完全に自分を解放してくれる。
【訳:余越保子】